製品ポジション分析の注意点
製品ポジション分析を、マーケティングに活用することは重要です。しかし製品ポジション分析はどういったものなのか分からない人も多いでしょう。そのような人のために今回は、製品ポジション分析の方法や製品ポジション分析でわかること、メリット、デメリットなどを解説していきます。準備事項や重要となる注意点なども説明するので、参考にして下さい。
製品ポジション分析は自社の製品や他社の製品に対して、顧客が市場でどのように捉えているのかを分析する手法です。製品ポジション分析を行えば、競合の少ないポジションを見つけやすくなります。その上で、新製品などの方向性を決定できるのです。
製品ポジション分析の方法としては、ポジショニングマップを活用するのが一般的となります。ポジショニングマップを作成するにはまず、顧客が自社の製品を購入する決め手となる要因をいくつか抽出しましょう。その中で特に自社製品のターゲット層にとって、購入の決定要因になりそうなものを2つ選びます。購入決定要因としてよくあるのは、価格やデザインなどです。選んだ2つの要因を縦軸と横軸にし、2つの軸の適切な座標の上に自社の製品を置きます。併せて競合となる他社の製品も配置して下さい。これがポジショニングマップとなります。ポジショニングマップは、自社製品や他社製品の市場での位置や、製品がない位置が可視化されて非常に分かりやすいです。
製品ポジション分析を行う際の準備事項として大切なのは、3C分析でしょう。3C分析は、ポジショニングマップの軸を決めるために重要です。3C分析ではcompany(自社)、customer(顧客)、competitor(競合)のそれぞれに対して分析をします。自社分析は企業戦略と合わせて、経営状況や営業規模などを考慮して自社の強みや弱みを挙げていく作業です。
客観的な数値による事実を明確にするのも重要です。自社分析を行いながら、他社と自社の差別化できる部分を見つけます。顧客分析は、ポジショニングマップ作成の際の、軸の決定と同じようなものです。自社製品の購入の決め手となる要因を抽出する作業ですが、この時購入を決めるのが誰なのか把握するのも重要になります。例えば子ども向け製品は、親が購入を決めることもあると考えられるでしょう。顧客分析では、ターゲットを絞りこみすぎず幅広い層を考えて行う必要もあります。
競合分析は自社製品の競合となりそうな他社製品を抽出し、それに対して購入の決め手となる要因を分析する作業です。自社製品と他社製品を比較しながら、自社が優位になるポイントを見つける作業でもあります。3C分析を事前準備として正確に行うことができるかどうかで、製品ポジション分析の精度は決まるとも言えるでしょう。
ポジショニングマップを活用した製品ポジション分析では、様々なことが分かります。まず自社製品と競合製品との関係性が明確になるでしょう。例えばマップ上で自社製品と他社製品が対極な位置にあれば、2つの製品は差別化ができていると分かります。近くに位置している場合は、差別化ができておらず競合度合いが高いです。さらに選んだ軸の要素において、自社製品が競合製品よりも優位になるのかどうかも分かります。マップ上に空白スペースがあれば、そこには競合他社がいないということです。
製品ポジション分析のメリットは、競合との差別化がしやすくなる点でしょう。市場で競合が少ないところを見つけて、そこに自社製品を位置付けられるようにすれば、他社と争うことなく共存できるようになります。自社製品が競合他社製品と比べて、どのような強みを持っているのか分かるのもメリットです。より強みを活かした製品に改良した場合、競合他社製品より優位に立てるようにもなるでしょう。また、自社製品が市場において競合製品の多い場所に位置していれば、いずれは価格競争に巻き込まれると考えられます。その際製品ポジション分析を行えば、自社製品の方向性を変えて価格競争を避けられるでしょう。この点から製品ポジション分析は、自社の資金面でもメリットになると考えられます。
実は製品ポジション分析には間違えやすいポイントがいくつかあるため、正確に分析するのは非常に難しくなっています。特に間違えやすいポイントはポジショニングマップ作成で、購入の決め手となる要因を抽出する時でしょう。例えばターゲットが女性であるのに、男性の購入決定要因を選んでしまうことはよくあります。
また、軸にする購入の決め手となる2つの要因が、似通ったものになってしまうこともよくある失敗です。例えば価格と品質は相関関係にあると言え、ポジショニングマップを作成すると全ての製品が直線上に並びます。これでは分析が上手くいきません。せっかく時間をかけて製品ポジション分析を行ったとしても、ミスがあり思うような結果を得られないことも多くあります。その点はデメリットと言えるでしょう。
製品ポジション分析をする際の注意点は、あくまでも顧客目線で行うということです。製品ポジション分析をする時には、企業やマーケティング担当者の考えを反映させてしまうことがよくあります。そのような分析から得られた自社製品の市場での立ち位置は、正しいものではありません。ほとんどが「こうあって欲しい」といった、企業側にとって都合のいい結果となっています。
もちろん企業やマーケティング担当者の経験から分析することも時には必要ですが、そこに必ず顧客目線で考えることを加えて下さい。製品に長く接していればいるほど、自身のセールスポイントを押し出してしまう傾向にあると言えます。そのため製品ポジション分析をする際には、顧客目線をかなり意識することが必要です。
全数調査とは、対象になる全ての人を調査することで、例えば国勢調査がこれにあたります。全数調査は対象者のことが正確に分かるメリットがありますが、手間がかかるので実施するのはなかなか大変です。しかし、ある程度ターゲットが限られているならば、製品ポジション分析に利用できるでしょう。アンケートによる全数調査を行い、ターゲット層の購入決定要因を知ることができます。アンケートの結果は完全にターゲット層の目線であり、企業やマーケティング担当者の意思は全く反映されていません。先ほど説明したような顧客目線をわざわざ意識しなくても、正しい製品ポジション分析が可能となるでしょう。
製品ポジション分析を行うことで、顧客が自社製品や他社製品を市場でどのように捉えているのか分かります。そこから今後の自社製品の方向性を決めることができるため、マーケティングに役立つ重要な手法です。正しく行うことが難しい面もありますが、顧客目線を意識しながら上手く行い、自社のマーケティングに活用していきましょう。