ウエイトバック集計の活用方法

アンケートの結果を反映させるには、アンケートを取った対象、いわゆる母集団の全体像を掴むことが重要です。実際に回収したアンケートだけでは、偏った結果しか得られません。それを是正するために、ウエイトバック集計という方法が用いられています。ウエイトバック集計は、どのような手段でアンケートに生かされているのでしょうか。


ウエイトバック集計とは

ウエイトバック集計とは、アンケートを回収する際に使われる集計方法を指します。ウエイトは「重さ」という意味を持つ「weight」を由来とし、「回答に重みを加えて集計する手段」です。つまり、回収したアンケートをそのまま算出するのではなく、状況に応じて回答数を調整しながら集計するやり方がウエイトバック集計なのです。この方法によってアンケートを集計することで、偏りのない全体像を把握することができます。


ウエイトバック集計の集計方法

では、どのような計算をすれば、ウエイトバック集計ができるのでしょうか。例えば、ある施設の男性100人と女性100人に対しアンケートを実施したとします。その中で、男性40人と女性60人しか提出しなかった場合を想定しましょう。女性の回答の比重が高いため、このまま集計すれば女性側に偏った集計結果しか得られなくなってしまいます。男性と女性の比重を合わせるには、ウエイト値を掛け合わせる作業が必要となります。

まず、回答した男性と女性の総数は全員で100名です。男性と女性の比重を1:1に合わせるには、それぞれが50人ずつ回答することが求められます。しかし、アンケートを提出した人数は、男性が40人で女性が60人です。従って、男女それぞれの人数を50人と仮定するためにウエイト値を掛け合わせていきます。男性は「50÷40」をし、女性は「50÷60」をするとウエイト値が男性1.25、女性0.83となります。この計算から、男性は1.25、女性は0.83というウエイト値を掛け合わせれば、アンケートを集計する際に比重を揃えてカウントすることができるようになりました。これが、ウエイトバック集計による集計方法です。


ウエイトバック集計する際の準備

上記の計算例のように、元々の対象人数が少なければいいですが、アンケートによっては何百万人もの人数を対象にすることもあります。しかし、あまりにも人数が多すぎると、アンケート調査の実施が難しくなります。その膨大な数のアンケートをウエイトバック集計するためには、事前準備として標本抽出が必要不可欠です。標本抽出とは、対象人数を絞った上でアンケートをする調査となります。その結果をウエイト値に掛け合わせれば、ウエイトバック集計の完成です。予め、標本調査やウエイト値をグラフにまとめた、Excelのシート等を用意するといいでしょう。


ウエイトバック集計でわかること

ウエイトバック集計を用いると、アンケートの対象となった母集団全体の縮図が明らかになります。対象となった男女どちらかの回答数が悪ければ、提出されたアンケートは一方に偏ってしまいます。これでは、男女全体のアンケート結果を均等に把握することができません。仮に、提出されたアンケート数をそのまま参考にすれば、どちらかに偏った対策が練られてしまう可能性もあります。そこで、ウエイトバック集計で比重を揃えると、男女全体のニーズを平等に捉えることができます。このような工夫を凝らすことで、改良に向けた対策を考えやすくなるのです。


ウエイトバック集計のメリット

ウエイトバック集計のメリットとして挙げられるのが、母集団全体がどのような意見を持っているかがアンケート集計に反映されていることです。つまり、アンケートの結果に関して全体像を掴むことができると言い換えられます。ある会社にアンケートをとった場合を想定しましょう。もし、その会社の部署がいくつもあるとなれば、組織の全体像を掴むのは非常に困難です。部署によって配属されている人数が異なることも容易に想定できます。このように、複雑な組織に対するアンケート集計を行える点がウエイトバック集計のメリットといえます。

加えて、母集団の人数があまりにも多い場合、この集計方法が役立ちます。対象人数が多ければ多いほど、アンケートを全員から回収することができなくなるので、ウエイトバック集計による算定が必要不可欠です。特に国の調査レベルになると、非常に膨大なアンケートが必要となります。しかし、国の調査であれば、国民の意見を平等に聞くことが求められるので偏った結果を出すわけにはいきません。そういった平等に揃うはずのないアンケート回収に対応できるのが、ウエイトバック集計の強みといえます。


ウエイトバック集計のデメリット

一方で、ウエイトバック集計をすれば、ウエイト値を求めるのに難解な計算をしなければならなくなるといったデメリットもあります。適切なウエイト値を定めるのは簡単なことではありません。もし、誤ったウエイト値を求めてしまうと、アンケートの結果が正しく反映されなくなる危険も孕んでいます。このような事態が起こったら、アンケートに協力した方も浮かばれない結果になる可能性もあります。ウエイトバック集計の場合、アンケートを実施してから結果に反映させるまでの作業が複雑になるので、計算方法を理解している人材確保も含めて丁寧な準備が欠かせないのです。


ウエイトバック集計の活用方法

ウエイトバック集計は、市場調査や学校を対象にしたアンケートに使われることが多いです。一般的には、アンケートの対象となる母集団が多いものに活用されています。ちなみに、集計したアンケートにかかるウエイト値を求める際に多く使われている参考材料が国勢調査です。国勢調査の数値は国による正式な調査に基づいた結果であり、広く公開されているのでウエイトバック集計には心強い存在といえます。そして、アンケートを事業の中心としている会社が積極的にウエイトバック集計を用いています。インターネットも経由しながらアンケートを行うため、ウエイトバック集計で全体像を把握することを求めているのです。このように、ウエイトバック集計はあらゆるアンケートにおいて使われています。


ウエイトバック集計のまとめ

ウエイトバック集計を用いることで、母集団の比重が揃えられてアンケートの結果における全体像が把握できます。ウエイト値を求めて調整を図りますが、計算方法が複雑になる場合もあります。しかし、この方法によって対象人数が多いアンケートにも対応することができるようになるのです。アンケートを事業の1つとする多くの団体によって、ウエイトバック集計は活用されています。

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