クラスター分析の注意点

クラスター分析は、簡単に説明するとデータをグループ分けして分析する方法です。データ量が膨大になればなるほど、データ分析には時間も手間もかかります。クラスター分析によってデータをグループに分けることで効率的な分析が可能です。データを扱いやすくする方法としても注目を集めています。クラスター分析の特徴や進め方などについて解説します。

クラスター分析とは

クラスター(cluster)の本来の意味は、房や集団、かたまりです。様々なシーンで使用され、ネット上では熱狂的なファンの集まり、感染症においては集団感染、都市計画ではまとまりのある区域を、それぞれクラスターと表現することがあります。クラスター分析はマーケティング用語の一つです。従来の管理システムでは記録や保管、分析が難しいとされるビッグデータを分析する方法としてクラスター分析は利用されています。膨大な量のデータは、多くの情報が混在している状態です。そのままでは管理や分析に多くの時間がかかってしまいます。そこでデータを同じタイプ別や特徴ごとにグループ(クラスター)分けし、管理の効率をアップするのがクラスター分析です。

また、データを分類することによって新しい情報を発見することも期待できます。クラスター分析によって分類される対象は、人間・企業・商品・地域などです。クラスター分析は、データの傾向や性質が似ているデータが集まり一つの集団になります。データを類似性によってまとめるデータマイニング手法の一つです。

クラスター分析でできること

クラスター分析は、大きな情報のかたまりを似た傾向を持つデータ同士のグループに分ける分析方法です。顧客の年齢や性別、住所といった明確に分類ができる情報をグループ化する場合には、クラスター分析とは言いません。クラスター分析は消費者の動向や傾向など、明らかな分類基準がないデータに対して用いられます。クラスター分析を活用することによって、消費者の特性ごとにグループ分けが可能です。その他にもショップで取り扱っている商品の分析や、消費者の生活エリア(商圏)の特性分析ができます。新商品を開発する際のブランドのポジショニング分析にも利用されているのが特徴です。

クラスター分析の考え方

クラスター分析は、データをグループごとに分け、いくつかのデータの集団を形成します。グループを分ける際には、データが似ているか似ていないかで分けていくのがポイントです。データの性質が似ているもの同士でグループを作ります。データ分類の仕方としては、相関係数を用いて類似度を算出する方法が一般的です。その他にも、直線距離であるユークリッド距離によってデータ分類を行うこともあります。ユークリッド距離は、2つの点の直線距離を表すものです。値が小さくなればなるほど、データ同士は似ていることになります。ユークリッド距離によってデータ間の似ていない度合を示しグループ化します。

クラスター分析では、データを似ているか似ていないかで分類することがポイントです。この似ているかどうかの判断によってグループ分けにも差が出るため、様々な分類方法が提唱されています。クラスター分析における分類のアルゴリズムは多数存在し、一つにまとまってはいません。

クラスター分析の進め方

クラスター分析の進め方は、まず事前準備として調査背景を把握します。その後にどのようなデータを分析するべきかを検討し、調査分析を行うのがポイントです。得られた分析結果を解釈(プロファイリング)します。背景調査とは、どうしてクラスター分析が必要になったのか、クラスター分析の目的と必要性を明確にすることです。背景調査があいまいなままクラスター分析をしても、分析結果を有効に活用することができません。事前の準備をしっかりと行いましょう。どのデータをクラスター分析にかけるかの判断も重要です。

分析するデータが決定したら、アドインソフトのエクセル統計や、フリーソフトのR、有料統計ソフトのSPSSやJMPなどを使って分析を行います。分析が出たら解釈を行い、さらに分析結果をどのように活かせるかを検討しなくてはいけません。データをグループ分けするだけでは意味がないので注意してください。クラスター分析で得た結果を読み解き、どのような対策が効果的なのかを導き出すまでが肝心です。

クラスター分析の種類

クラスター分析は大きく分けて、階層クラスター分析と非階層クラスター分析の2種類があります。階層クラスター分析は、すべてのデータ同士のデータ距離を測定していくのが特徴です。データ間の距離によって、データ同士がどのくらい似ているのかを計算し分類していき、似ているデータでクラスターを形成します。データのバランスが良いと評判で、最も使用されている距離測定方法はウォード法です。

非階層クラスター分析は、最初に何個のクラスターに分けるかを決定し、データを分割していきます。それぞれのデータがどのクラスターに似ているのかを振り分けていくイメージです。似ているデータは近くに集まり、似ていないデータは距離をあけます。距離測定法の一つであるk-means法が用いられることが多いです。非階層クラスター分析は計算量が少ないため、ビッグデータに適しています。

クラスター分析の応用例

クラスター分析の応用として、ダイレクトメールの配信に使用されることがあります。ダイレクトメールは顧客へ直接情報を配信しアピールすることができるのがメリットです。ただし、顧客のニーズにマッチしない場合には読んでもらえなかったり、効果が期待できなかったりします。クラスター分析を活用することによって顧客をグループ化し、それぞれのグループの傾向に合わせたダイレクトメールを配信することが可能です。顧客のニーズに合わせることによって、ダイレクトメールの効果が出ることが期待できます。

また取引先を分類するときにも便利です。これまでの取引情報をクラスター分析し、どのような傾向があるのかを把握することができます。取引の傾向を可視化することにより、取引の参考になり新しい発見も期待できます。

クラスター分析は事前準備と解釈が重要!

クラスター分析は、大量のデータを分析する方法の一つです。似ているデータでグループ(クラスター)を作ることで管理の効率を向上し、データの傾向や特性を把握することができます。クラスター分析を有効化するためには、どの手法で分析を行うのが適切なのかという点を見極めることがポイントです。また分析結果を活かすためには、十分な解釈を行いましょう。

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