マーケティング・リサーチはどんな時に活用するのか?
マーケターの皆さんにとって、マーケティングリサーチという言葉はよく耳にするものなのではないでしょうか。マーケティングを成功させるために欠かせないマーケティングリサーチですが、実施するなら効果的なタイミングを狙って行いたいものです。ここではその効果的なタイミングについて説明します。
マーケティングリサーチとは、消費者からの情報を収集する手段です。市場調査と混合されることも多いですが、未来の顧客の行動を予測するという側面が強いという点で別のものだとされます。しかし、この定義についてはやや曖昧な点が多いようです。また、マーケティングリサーチで収集できる情報は大きく3点に分けることができるとされています。1つ目は、サービスや商品を消費者がどのように使用・購入しているのか。2つ目は、なぜ使用・購入を行っているのか。3つ目は、そのサービスや商品の広告を見た消費者がどのような反応をするのか。ユーザーが何を考えているのかを調査し、今後どのように動くかを推測することができるため、ただ闇雲に事業を行うよりもリスクを軽減することができます。
マーケティングリサーチを行う際、マーケティングに関する課題をリサーチ課題として整理しなおす作業がポイントとなります。マーケティングに関する課題の中からリサーチで把握することができる課題を選出し、どのようなリサーチ方法が適しているかなどを考えリサーチの計画を立てるという手順が一般的です。効果的な実施タイミングについては後ほど詳しく説明します。
マーケティングリサーチの種類は、手法によって大きくわけて2つあります。1つは「定量調査」と呼ばれるもの。アンケートなどで多くの消費者からの意見を集めることで、ターゲットとなる属性の「全体の傾向」を捉えることができます。ハガキを使った郵送での調査や、電話調査、会場アンケートなどもこれにあたります。また、インターネット上でのアンケート調査という方法も増えています。対になる「定性調査」と比べ、調査する側される側どちらも負担が少ないですが、活用可能な情報にするためにはたくさんの人に回答してもらう必要がある手法です。
もう1つは、「定性調査」と呼ばれるものです。これは、消費者一人ひとりの考えや行動の傾向を定性的に分析する手法といえます。インタビューやワークショップ、覆面調査員を使う調査などがこちらです。SNSなどの書き込みを調査することで、消費者の生の声を知ることもできるでしょう。「定量調査」と比べて手間がかかる調査になりやすいですが、実際の声を集めることでマーケティングで立てる「仮説」の説得力を高めることができます。
マーケティングリサーチで集めた情報を活用するためには、マーケティングリサーチを実施する時期が重要です。ここでの時期とは、「どのような課題が生まれたときか」という意味だと考えるとわかりやすいかもしれません。何の目的もないままただリサーチを行っても、得られる効果は薄いです。調査を行った手間暇を無駄にしないためには、課題に対してのリサーチを行う必要があります。先に説明した「定量調査」と「定性調査」では活用すべき時期が異なりますので、それぞれについて説明します。
まず、「定性調査」を活用すべき時期は「仮説を立てる必要が生じたとき」です。具体的には、何か新しいプロジェクトを立てる際や、新製品の開発に向けて動き出そうとするタイミングだと考えると良いでしょう。新しい事業を始める際は「どういったものが今求められているか」を仮説立てて考える必要があります。そうした場合に、消費者に「今何が欲しいですか」と直接聞いたところで新しいものはなかなか出てきません。消費者の考えや行動の傾向を調査し、得られたデータから消費者のニーズを探っていく必要があります。「定性調査」は潜在的な消費者のニーズを探ることに適していますので、仮説を立てる際は積極的に行うべきだといえるでしょう。
次に、「定量調査」についてですが「すでにあるものを見直そうとするとき」に実施すると効果的に活用することができます。こちらでも具体的な例を挙げると、「いくつかある商品の中でどれが一番選ばれやすいか知りたいとき」や「今ある案のなかでどれを採用するべきか悩んでいるとき」などです。「定量調査」では情報を数値化することができるので、どの点がどのくらい優れているのかを客観的に確認することができます。消費者の傾向として、商品のどの点を評価していてどの点がいまいちだと感じているのかが明確になれば、その後の戦略が立てやすくなるでしょう。
マーケティングリサーチは、上手く活用すれば顧客を知り効果的なマーケティングを行うための非常に有効な手段となります。その情報を最大限活用するには、調査の目的を明確にし「定量調査」と「定性調査」を使い分ける必要があるということが理解できたのではないでしょうか。せっかく実施した調査の結果を上手く活用できなかったと無駄にしてしまったり、もっと早くこの結果が分かっていればと後悔したりすることのないように、最適なタイミングと調査方法を見極めましょう。